クラスファイルについて

TeXに関する基本的なことはだいたいわかってきたんではないでしょうか.
ではフォーマットに関してはどうでしょうか.用紙の余白を2cm取りたい, フッターにページ番号を記述したい,二段組にしたい….
TeXが便利なのは,こうしたフォーマットなどの決まりごとはクラスファイルを読み込むだけでよいというところにあります.

つまり書くのが必要なのはほとんど本文だけで,後は読み込むクラスファイルを替えるだけでTeXが勝手にフォーマットを整えてくれます.

特に学会論文などは学会ごとにフォーマットが厳格に決められている場合がほとんどです.たいていTeX用にクラスファイルが用意されていますので, フォーマットを気にする必要はほとんどないです.

ちなみに皆さんがTeXソースに記入していた

\documentclass{jsarticle}

このコマンドがクラスファイル「jsarticle」の読み込みを命令している部分です.

卒論概要を書く

卒論概要用にTeXのクラスファイルを作成しましたので次のリンクから卒論概要必要ファイル一式をダウンロードして適当な場所に解凍してください.

卒論概要必要ファイル一式のダウンロード

使い方

knkgaiyou.clsが卒論概要のクラスファイルです.このクラスファイルを使用するTeXソースファイルと同じフォルダの中に入れて使用します.

基本的な卒論概要の執筆手順は以下のとおりです.

  1. 卒論概要の作業フォルダを作ります.
  2. 1で作ったフォルダ内にknkgaiyou.clsとknkgaiyou_template.texをコピーします(必要であればknkgaiyou_template.texをリネームします).
  3. コピーしたknkgaiyou_template.texを開き,コメントにしたがって論文タイトルの設定情報を記入します.
  4. 本文を記入します.
  5. \bibitemで始まる参考文献の記入例に従って参考文献を記入します.
  6. コンパイルを2回連続でします(参考文献の引用\citeやラベルの引用\refをする場合に必要です).
  7. dviによる確認・修正を重ね,概要が完成したらPDFで出力してレイアウトをチェックします.

卒論概要クラスファイル使用例として,クラスファイルを使用したサンプルとして卒論概要(1枚)を作成しました(本来は2ページ執筆します).
参考にしてください(卒論概要必要ファイル一式の中に入っています).


卒論概要フォーマットおよび注意事項

  • 論文の序論の話の流れ.
    1. 研究の背景として,〜ということが(社会的・学術的・その他の理由で)重要である.
    2. その重要なことについて,〜という問題点がある.
    3. 問題点を解決するために,〜という従来研究があり,〜という手法で解決している.しかし,この方法では〜が解決できない(あるいは目的が少し異なる). また,〜という方法では,〜は解決できるが,〜という問題点がある.
    4. そこで,本研究では〜の解決を研究の目的とする.(この問題が非常に重要・困難・あるいは誰もやっていないことをアピール)
    5. 〜の解決にあたって,具体的には〜という方法を採用する(自分の研究のキーポイントを主張).
  • 研究のイメージ図を書いて載せる(必ず練習の意味も含めて自分で絵を書いてみて下さい.絵を書く場合には,Canvas というソフトがお勧めです.)
  • 書いた図・表,参考文献は本文中で必ず引用する.
  • 図番号は下,表番号は上に書く.
  • 図や表の中の文字は読める大きさで書く.グラフには,必ず軸の示す内容などの必要事項を記入する.
  • 人に見せる前に自分で読む.内容はともかく,日本語が変な文章は誰にも読んでもらえません.印刷したら必ず自分で読み返してください.
  • 同じような言い回しを連続して繰り返すのも避けて下さい.
    例)そこで,本研究では〜とする.そこで,実験条件として〜とする.
    (「そこで」が重なっています)
  • 自分で読む→院生に読んでもらう→山下先生か金子先生に渡す,の順番で持ってきて下さい.
  • 句読点は「,」「.」に統一する.
  • 式で変数はイタリックにする.
  • 同じことを別の単語で言わない.
    例)計測する対象を「対象物」と言ってみたり「物体」と言ってみたりとか
  • 必ず定量的結果(=数字のデータのこと)を書く.
  • あまり長い文章を書かない.
    例)〜という現状があるため,Aという問題とBという問題が発生するが,    Aに対しては〜,Bに対しては〜で対応するが,〜であり困難であるが,    本研究では〜を考慮する.    (何を言っているか分からない)
  • 【本文中の括弧】括弧は基本的に全角.
    *ただし,式番号や参考文献,数式の括弧,英文中で用いられる括弧は半角.
    全角の例:
    (図1),LRF(Laser Range Finder)
    半角の例:
    式(1),文献[1],座標(x, y, z),Internationalization (国際化) is important
  • 【コンマ】基本的にはすべて全角.
    *ただし座標など数式中で用いるコンマは半角,英文中で用いる場合は半角,参考文献の列挙には半角.
    全角の例:
    変数x,y,zは〜,  色はRed,Green,Blueの〜
    半角の例:
    座標(x, y, z)   文献[1], [3], [5]
  • 【参考文献】日本語,英語文献共通事項
    複数著者がいる場合は全員書く.ジャーナルや国際会議名は省略しないで全部書く
    日本語文献の場合
    • カンマ,ピリオドは基本的にすべて全角を用いる
    • 「vol.」,「no.」,「pp.」あるいは月名等の省略記号には半角ピリオドを用いる.
    • 省略記号の後には空白を入れない.著者の姓と名の間に空白は入れない.
    • ページとページの間はハイフンではなくダッシュを用いる(TeX表記でいうと"--").
    • コロン":"は全角を使用し,ダブルクォーテーションとの間にスペースを挿入しない.
    • 引用符では開きにには `` を用い,閉じには " を用いる.
    • 日本語文献表記例
      [1] 山下淳,林本悦一,金子透:``レーザレンジファインダを用いた水中物体の3次元形状計測",日本機械学会論文集(C編),Vol.72,No.717,pp.1506--1513,2006.
    英語文献の場合
    • 標題中の単語については文頭以外は小文字を使用する.
    • 常に半角ピリオド「.」と半角カンマ「,」を用いる.
    • 姓名をフルネームで記入し,ミドルネームは省略する.たとえばMr. Fast Middle Lastさんがいた場合,Fast M. Lastとなる.
    • FastとM.の後には半角スペースを挿入する.
    • 引用符では開きにには `` を用い,閉じには " を用いる.
    • 英語文献例:
      [1] Yuu Tanaka, Atsushi Yamashita, Toru Kaneko and Kenjiro T. Miura: ``Removal of adherent waterdrops from images acquired with a stereo camera system", IEICE Transactions on Information and Systems, Vol.89-D, No.7, pp.2021--2027, 2006.